非常識の確率。
午前中の仕事が終わって、六本木の裏道を歩いていた。雨模様の続く梅雨だが、その日はうってかわって初夏を通り越して、夏のような日差しが降りそそいでいた。こういう日に東京にいるのはもったいない。ゴルファーなら誰でもきっとそう思う、そんな昼である。
いい日だな、と感じていると、自然、足取りも軽くなる。早足は健康にもいいらしい、と思いながら歩いていると、背中の肩口を軽くではあるが、誰かに叩かれた。誰だろうと振り返ってみたが、そこに人はいなかった。
裏道とはいっても人通りは賑やかな、お昼時の六本木である。大好きな幽霊話になるような時間でもないし、そういう雰囲気は、ひとつもない。でも、肩は叩かれた。人はいない。おや、と思って、店のウィンドに映る自分を見た。
やられた。ジャケットの背中に白いものがべっとりと付いている。
鳥の糞だった。ハト、いや、カラスかもしれない。
その量がハンパじゃなかったので、背中を叩かれたように感じたのだ。慌てて、とある外食チェーンのトイレに飛び込んで落下物を洗い流した。いずれにせよ、ジャケットはクリーニング行きになった。
ついていない話の象徴のような出来事(ヨーロッパではついているというらしい)だが、糞害を自分が受けたのは初めてであった。頭に受けてひどい目にあったとか、友人の話を聞いた記憶はある。災難ですね、と同情はしたものの、コントの典型的なギャグのようでもあり、どこかで微笑んでいたような気がする。しかしいざ自分に起こってみれば、笑いごとではない。着の身着のまま、ファッションにはあまりこだわりのない私あたりでも、困ったのだから、着飾った女性に命中していたら、さらに笑いごとではなかったろう。
しかし、確率的には、ホールインワンなのかも。数日後、冷静になった頭がそんなことを考えていた。まだ「エース」の経験がない私とすれば、コレは前兆かもしれないと、勝手に思い始めてもいた。予感がするぞ、誰に言うでもなくeggを振るが、ポーンと肩を叩かれるような、偶然との出会いはまだやってこない。
160ヤード、パー3。何番で打ちますか?

軽井沢ゴルフ倶楽部。浅間山を眺めながらのラウンドは最高であった。芝の練習場もすばらしく、年に一度は必ず来たい場所である。

鎌倉七里ヶ浜から江ノ島方面を望む。光と波の「偶然」が生んだワンショット。









