非常識なる賭け。
昼食の時、友人から聞いた話。
5年ほど前、仕事でフランスへ行き、地方のとある街でカシノへ足を向けた時のこと。小さな保養地はシーズンオフで、カシノは人もまばら。友人の日本人3人連れと、あとは地元のフランス人数人がいた程度だったという。邦人3名はルーレットにとりついて、ちびちびと遊んでいた。
それでもルーレット台には若いディーラーが2人いて、なかなかの手つきで回している。しかし、ヒマである。2人はしきりに私語を交わしていた。(どうせ台にいるのはニホンジンらしき男が3人。なにも尋ねてこない。なにやらわからない言葉で話している。今日は、気楽にいこうや。)
だが友人はフランス語に精通していた。フランス語をしゃべらなければならない場面も、必要もなかったので、友人たちと日本人になりきり、日本語を楽しんでいた。勝負はとんとん、小さく賭けているのでそれほど金の動きはない。
するとディーラーのフランス人が遊び始めた。もう1人のディーラーに向かって「18!」番号をひとこと言ってボールを投げたのだ。(ほほう。言葉がわからないと思って、面白いことをしてくれるもんだ。)友人はボールの行方を静かに見守った。すると宣言したナンバーのポケットにボールが吸い込まれた。(ほほう)
友人はその妙技を見ても表情ひとつ変えず、コインを張り続け、日本名産、ニタニタ笑顔のまま日本語でこう言った。「俺が番号を言ったら、そのナンバーに有り金、ぜんぶ勝負だ」このときばかりは、仲間の2人も、阿吽の呼吸で(どうして)と聞くこともなく、その時を待った。
ディーラーを無視しながら、メイド・イン・ジャパン笑顔で待つことしばし。頃合いだった。指令役の友人の目付きが一瞬変わり、「2番だ、行くぞ。」とゴーを出した。ディーラーがホイールを回し、フランス語で「2番」といってボールを投げた、そのあとだった。
あわてたのはフランス人ディーラーだった。が、もうどうしようもない。彼の狙い通り、ボールは見事「2番」ポケットに収まった。
「フランス語がわかってたんですね。非常識な方だ。」若者はあきらめ顔で、そう友人に声をかけた。
「セ・ラ・ヴィー(それが人生さ)」流暢なフランス語でそう返すと、友人は背筋を伸ばして手をさしのべ、若者と握手した。
さて、彼らがいくら稼いだかは、ここでは触れない。決して非常識な額ではない。人生が狂わぬ程度、としておこうか。
昼食が終わり、午後のラウンドがスタートする。ティグラウンドに向かって歩く道すがらその友人が囁いた。「あとのハーフ、ハンデを倍にするから、ベットも倍にしないか?」うれしいお誘いではあったが、その非常識な申し出を私は丁重に断わった。
160ヤード、何番で打ちますか。

霧に包まれるエッフェル塔。去年の冬に行ったのだが、寒かった。1889年の万博のために建てられたが、当初、20年後に解体される計画だったという。

夜、六本木から歩いていると、いつのまにかここへ出た。ライトアップした東京タワー。東京の象徴として高度経済成長期から鎮座している。このごろでは東京のグラフィティとして、登場することも。















