非常識な花。
少し前になるが、桜満開のゴルフ場へ行ってきた。今年は開花と同時に花冷えが到来し、桜の開花が凍り付いた。冷蔵庫で咲いている桜、といったら大袈裟だが、気温が上がらない日が続いた。憶えていますか。
もうこの日は散っちゃってるはずだけれど、ま、行ってみるか、と先輩に誘われたのが、3月の末。しかし冷蔵保存状態がよかったためか、桜で有名なゴルフ場はその日、満開であった。
きれいなものである。ラウンドしながら最高だな、とか最初のうちは会話がはずんだ。しかしゴルフが始まってしまうと、自分を含めて誰も桜を見ていないことに気がつく。ボールは下にあってそれを見ているわけだから、上に咲いている花を見ているヒマがなくなるのだ。ましてやトラブルに巻き込まれてしまえば、きれいに咲いた桜の樹の下でも、怖い顔をしてボールとピンをにらんでいる。イヤ、誰がどうという話しではなく、ゴルフとはそんなもので、花を愛でるに適してはいない。花は満開、不条理も満開になっていく。
しかし、だいたい花見というものも、持った酒を順調に減らしつつ、隣で同じように酔っぱらった人と、が鳴り合っているだけで、桜を見ている様子はまずない。
そんなこんなで、到着したのは何番のグリーンだったか。そばに立つ桜の老木が見事で、花びらがグリーン一面に散っている。花柄の毛氈を敷き詰めたようなグリーンはこの世のものとも思えないほどきれいだった。
しかし、パットを始める段になって先輩がつぶやいた。
「お前のボール、どこ?」
「マークしたんですけれど、あれ、どこでしたっけ」
マークを桜の花びらが隠し、どこにあるのかわからない。気がつけば先輩はじめ、みんなで人のラインを踏みまくり、どこだどこだとドリフターズのようにマークを探し回る始末。ゴルフを始めて間もない人々ならともかく、一緒のメンバーはベテラン揃い、マナーもわきまえたゴルファーなのだが。このドタバタぶりには笑うしかなかった。
終いにはパットのラインが見づらく、これじゃ、花が邪魔だなと思ったとき、私の意識から桜が消えた。
ふたつを一緒にやるのは無理なんだ。
さて、154ヤードのパー3,何番で打ちますか。
キャディも桜色のユニフォーム。年中、これなのだが。
どこだ、どこだ。ワタシのマークは。




























